桜の記憶


人間(ひと)でありて 人間(ひと)でなく
生まれたときから 背負う宿命
あなたもそれを知っていた
だから 見つけてくれたのね

あなたがいなければ消えていた
桃色の生命(いのち)を

桜咲く暁 薄紅の光
淡い花の雲は 古き館包む

夢の続き見るなか 出逢えたのはあなた
永遠(とわ)に消えることない
灯火をくれたの

生きること それは 夢見るということ
最初に会えたときから
気づいていたのね 

少女の日の願いごと
大人になれば 消えていくのね
それでも 信じていたかった
生きる 希望だったから

心のままに 愛を謳うこと
なぜ 許されないの?

桃の芳香(かおり)満ちて 早い春をうたう
沈む乙女の心を そっと癒すように

春の風の中で 見つけ出した光
それはたどりつく場所
彷徨える恋心(こころ)の

生きること それは 楽しいということ
あなたが教えてくれた
忘れえぬ あの日

祝福された 王国(くに)にも
歴史にも必ず 終焉(おわり)があるの
瞬間までわからないから
人は 生きてゆけるのね

あなたの魂を見送るとき
そう思えたの

桜舞う黄昏 過ぎる季節惜しむ
遠い過去の彼方 輝ける記憶

時空(とき)を超えた約束 最後の贈り物
永遠(とわ)に消えることない
ふたりだけの秘密

生きること それは 愛するということ
記憶の中のあなたが
教えてくれたの

翠なす若葉 いつか季節は移り
物語もいつしか 伝説へ変わる

時空(とき)を超えた約束 ずっと信じてるの
永遠(とわ)に消えることない
ふたりだけの秘密

生きること それは 楽しいということ
あなたが教えてくれた
至福の記憶