聖夜の魔法

大きな時計の 振り子が揺れる
窓の外には 降る白雪
家族のいない 大きな屋敷で
今日もため息 静かにもれる

あれは最初の誕生日
天使が連れて来たところ
名前をくれた 両親は
たしかに愛してくれていた

幼い頃に遊んだ庭
お父様の作ったぶらんこは
いまもそこにあるかしら?
思いめぐらす 遠い日々

めぐるめぐる 聖夜の魔法
時を越えて 世界をまわる

大きな時計の 振り子が揺れて
聖夜の天使が 魔法をかける

あんなに逃げたい そう思ってたのに
なぜか恋しい 暖炉の炎
生れ育った 煉瓦の屋敷が
愛しく思える 驚くほどに

めぐる世界が 瞳(め)に痛い
天使が連れて来たところ
それでもこれが 真実なの
誰も教えてくれなかった

貧しいけれど暖かい家
何も知らずに夢見てた
恵まれていた環境が
いまになったら 恥ずかしい

めぐるめぐる 聖夜の魔法
国を越えて 歴史をまわる

大きな時計の 振り子が揺れて
聖夜の天使が 魔法をかける

聖なる夜が 厳かに始まる
灯火(ともしび)の波 静かに渡る
昨日と違う 瞳で見たら
違う世界が 確かに見える

ずっと夢見た舞踏会
天使が連れて来たところ
広間をめぐる ワルツの輪
手を取るあなたは 誰かしら?

華やぐ社交の裏側で
お母様は現世(うつしよ)の御使い
花に飾られ 嫁いだら
同じように できるかしら?

めぐるめぐる 聖夜の魔法
絆を越えて 愛を知るの

大きな時計の 振り子が揺れて
聖夜の天使が 魔法をかける