月の宴

 

 

金木犀の強い香りがすると、秋を感じますね。
秋の香る花の代表格でもあるでしょう。

この花は、月と結び付けられることも多く、古代の人々は、金木犀の木に花が咲く頃になれば月も満ちてゆき、花が満開になる時には、月も満ちると考えていたという説もあります。
日本でも、秋の月は「中秋の名月」というほどに美しいとされているので、秋に咲くこの花が、秋の満月と結びつけられるのも、不思議はないでしょう。

金木犀の香りは、かぐわしいだけではなく、女性にとって嬉しい効能も秘めています。
金木犀の香りは、食欲を減退させて、ダイエットの助けになるといわれているのです。
不安や不眠にも効果があるといわれているので、心がざわめいているときに、、この香りに触れると、心が落ちつくかもしれません。
スピリチュアルな世界では、人間の潜在能力を引き出すといわれています。

金木犀には月にちなんだ伝説が多いといわれていますが、その中でも有名なものが、下記のものでしょうか。

 

昔の中国の人々は、月の世界には、金木犀の群生があると信じていました。
その中国には、嫦娥という仙女が伝えられています。
嫦娥は、もとは人間だったのですが、ふとしたことで不老不死の薬を得て、仙女になった女性です。
仙女となった嫦娥は、月の世界までも飛ぶことができました。彼女は、金木犀の花と香りに満たされた月の世界をすっかり気に入ってしまい、そこに宮を建てて暮らすようになったのです。
このことから、仙女嫦娥は、月の女神とされるようになりました。
中秋の名月の頃には、中国の各地で、嫦娥を祀る祭事と宴が行われていたそうです。
そんなある年の中秋の名月のときのこと、いつものように嫦娥は、月の宮から地上の世界を見下ろしていました。
彼女の視線の先にあったのは、彼女の祭りの宴を楽しむ人々の姿でした。
祭りにしつらえらえた場は美しく、人々も楽し気です。
そんな様子を見ているうちに、嫦娥の気分も高揚し、いつしか宮の外の金木犀の園で舞を舞い始めました。
彼女の夫である呉剛もその様子を一緒に楽しみ、彼女の舞にあわせて、金木犀の木の幹を叩いて拍子をとり始めたのです。
すると、金木犀の木から種がこぼれおちて、地上にも金木犀の種が降り注ぎました。
この種か生まれたのが、現在地上で見られる金木犀である―とのことです。

金木犀は、「桂花陳酒」というお酒にも使われます。
お酒が好きな人の中には、味と香りを堪能した人もいるのではないでしょうか。