楽園

「奇蹟のはじまり」
あなたは言った 呟くように
意味深な瞳(め)をして

こんな夜を迎えるなんて
想像もできなかったわ
初めて会った あの日

きっと 生きられないわ
これが全部夢なら

つかまえていて
その腕の輪の中
安心させてほしいの

誰にも言えない不安
忘れさせてほしいから

つかまえていて
お願い…今だけは
歴史なんて忘れさせて

誰にも言えない不安
なにも尋かずに抱きとめて…

「ここにいていいの?」
思わず尋かずにいられなかった
馴染むほどに こわくて…

過ごす日々と 本の出来事
思うのよ 事件のたびに
ふたつの重なり具合を

だけど…もう遅いわ
許されないとしても

つかまえていて
あなたのいる場所が
わたしの楽園なのよ

古代(かこ)と21世紀(みらい)の交錯
あり得ないの…本当なら

つかまえていて
その大きな愛で
どこにも呼ばれないように

誰にも言えない不安
溶かし去ってほしいのよ