水の神の花嫁

何気ない毎日が 続くと思った
神の宮の使いの人が来るまでは
選ばれるのは栄誉なことと みんな言うけれど
なぜそれが栄誉なのか わからない

何気ない毎日を 思い出してるの
月灯りの届く部屋 神の宮で
恋も未来も捨てることが 栄誉なことなの?
なぜ選ばれたのか それも わからない

この月が満ちる夜に 神の花嫁になる
望んだのは神? この世界の人々?
波立つ心 知らないように
静かに夜は更けて

いまは上弦 満ちゆく月
窓辺から届く 銀の光
水底から見上げる空と どこか似てる

世界を守る 泉の神は
迎え入れてくれるでしょうか?

この世界に残す心を 持ち続けていても

何気ない毎日が 大切と気づいた
明日という日が失われる このときに
月灯りのさす部屋の中で 胸にうかぶのは
もう戻れない日々のこと つれづれに

この月が満ちる夜に 神の花嫁になる
乙女たちから 選んだのは誰なの?
望んでいない この役割から
逃げ出せたらいいのに

明日は満月 儀式の夜
ときは無情に過ぎていくの
この世界の愛したすべてと お別れするの

世界を守る 泉の神に
生命の炎を捧げるの

この世界を愛する心は 忘れないままに

今日は満月 儀式のとき
花嫁衣装に 身を包むの
この世界の軛をすべて いま断ち切るの

世界を守る 泉の神は
迎え入れてくれるでしょうか?

新世界に向かう覚悟が 足りないままでも